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食と健康、古き良きもの、地元の魅力を発信

2019.5.13

 彦根城築城にともない城下町が形成された時、まちを守るべく最も外側に配置された足軽組屋敷。その一軒がおよそ180年余りを経た2018年にアメリカ発祥のロースイーツ店としてオープンした。足軽?ロースイーツ?時代や国を超えて織りなすものとは…。

軽組屋敷が点在する路地を迷いながら探す楽しみも

 店主は吉田理恵さん。看護師として勤務していた時に食と健康の関係を実感し、手術や薬以外で自分にできることはないかと考えるようになった。2013年にローチョコレート*を知り、美味しくて心が穏やかになり幸せになった感動から「これだ!」と思い立ち独立を決意、物件を探しはじめた。
プライベートで外国人の友人が好む京都を案内するうち、滋賀の魅力も知ってほしいと思うようになっていた吉田さん。実家があったこともあり城下町彦根に辿り着く。そこで知人を通じて次の借り手を探していた旧彦根藩足軽組屋敷善利組・村山住宅を内覧して魅力を感じた。当初は建物を工房として使うことに消極的だった家主さんを、この地域のまちづくりに取り組む芹橋2丁目自治会まちづくり部会のメンバーが粘り強く説得、当バンクは仲介を担い成約にいたった。 城下町は観光地としてにぎわう一方で、大通りから一歩中に入れば歴史有る町並みが寂れている現状を目の当たりにした。「足軽組屋敷さえ知らなかったんですが、古き良き建築物を後世に残す大切さを学びました。新築は予算さえあれば造れますが、歴史有る建築物はそうはいきません。人が住まないと家は傷んでしまうので、わたしにもできることはあるのではと思いました。」と話す吉田さん。当初はオンラインショップ販売の予定だったが、実店舗とカフェを開くこととなる。「庭を見てカフェが想像できました。まちづくりの成果の一つとして店を構えて地域に還元したいと思ったんです。」 ローチョコレート:カカオを焙煎せずに低温で作られるチョコレート。加熱しないことで生(raw/ロー)カカオの豊富な栄養素を体に取り入れることができる健康食品。

食育やヨガ講座が開講されることもあるカフェスペース

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 藩によっては長屋が多い中、彦根藩の足軽屋敷は庭付き一戸建て。門と塀に囲まれ小さいながらも武家屋敷のような構えが特徴。村山家住宅は天保7年(1836)に作成された絵図に描かれ、改造しているものの江戸時代の姿を良好に保っていることから市の指定文化財になっている。「寒さと害虫対策は必要ですが、庭を眺めると心が和みますし、どーんとした柱などが守ってくれているようで気持ちが落ち着きます。」

彦根の歴史豆知識が付いた板チョコレート

 旅が趣味でこれまで海外を何度も訪れている吉田さん。旅先の食材と思い出をいれたチョコレートが店先に並ぶこともあるそう。カカオ以外の原材料は出来るだけ地元産を使う。例えば今開発中だという彦根りんごのクランチチョコにも地域とのつながりが感じられる。彦根りんごは江戸時代に栽培されていたと伝わり近年復活した大変希少なものだ。今は滋賀県産の蕎麦をクランチ状にしてチョコレートに混ぜ込む試作をすすめている。カフェの器は江戸期から彦根に伝わる湖東焼を、インテリアには県内の麻織物を使う。地元のものを取り入れて彦根や滋賀の魅力を伝えたい。海外からの観光客にも彦根にゆっくり滞在してまちの良さを知ってもらいたい。店がそのきっかけになればと吉田さんは願う。店名は、ハレの日(特別な日)をより楽しく、ケの日(日常)をハレの日に。チョコレートが人々を健康にするようにまちが元気になりますようにと。

 

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information

店舗:Hareto-Keto ハレトケト

住所:〒522-0087 滋賀県彦根市芹橋2丁目6-54

TEL:080-4390-1476

HP:

土・日曜 9:00-17:00営業

・ローチョコレート販売 ・ロースイーツカフェ

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