“古”と“新”が出会う「caro angelo」
2012.5.27
歴史ある彦根城下町のなかでも、最も古い商店街といわれる旧「橋本商店街」。 城下町の入り口として、朝鮮通信使の往来する街道として発展したこの通りは、大正末期から昭和初期にかけては、日用雑貨や衣類を扱う店が立ち並び、人々が行き交う商店街として人気を博したのだ。「リバーサイド橋本通り」と名を変えた現在、少しずつ店舗が入れ替わり、また新たな賑わいを醸成しつつある。昔ながらの街並みに溶け込むようにたたずむのは、花を中心に生活雑貨や衣料品などを扱うセレクトショップ「Caro Angelo」だ。「寺田表具」という表具屋だった店舗を買い取り、1年半かけて店舗兼自宅へと改装した。
現在の建物との出会いは運命的だったとオーナーの平野和俊さんは言う。以前から「彦根の商店街に時代にあった面白い店がもっと増えるといいな」と感じていた平野さんは、自身も商店街への出店を考えていたという。彦根にはいくつも商店街があるが、店を開くならリバーサイド橋本通りがいいと感じていた。なかでも気になる物件があった。それが10年ほど前から空き家になっていた寺田表具の建物だったのだ。実際に建物に足を踏み入れた瞬間、その雰囲気の良さに惹かれ、ここに店を作ろうと決心していたという。ご縁があったのか、希望の物件を手に入れた平野さん。400年以上前、彦根城ができたのと前後して建てられたという町家をリノベーションするにあたって「古い良さを残して、きれいにし過ぎないでほしい」との希望を出した。建物の状態は悪くない。雰囲気などをできるだけ残し、「“古”と“新”の上手な共存」をテーマにした店づくりを目指したのだ。
建物をできるだけ活かし、影と優しい光が印象的な店舗が完成した。全体としては暗い店内に、窓からの自然光や間接照明が柔らかな光を送り込む。影が生まれ、並べられた商品に表情が生まれる。町家が元々持っていた空気感をそのまま感じられるかのような空間ができた。
1階には花と雑貨を中心に並べ、階段を登った2階には洋服やカバン、靴など衣類が展開されている。太く無骨とも言えるような梁が何本も近くに迫るダイナミックな空間を使い、梁をディスプレイ材として使用するアイデアで、隠れ家ともいえるような親密な雰囲気が作り出されているようだ。 古い建物を活かした店内に「サンルーム」のような空間がある。大きな窓からふんだんに光が注ぎ、中庭の緑を臨むことができる。明るい洋のムードが、面白いコントラストを作り出している。 異なる佇まいを内包できるのも、「うなぎの寝床」とも言われる間口が狭く、奥行きがある町家の魅力かもしれない。 「町家は住むには面白いですよ」と平野さん。 冬は非常に寒いなど不自由もあるが、それ以上に居心地がよく、気持ちよく暮らせるという。「住んでみると多少の不自由も楽しめるほどの愛着を感じます。思いや意志を持って町家を探していれば、きっと自分にあった建物がみつかりますよ」。
平野和俊さん、香陽子さんご夫婦が平成22年5月16日オープンした、花屋&セレクトショップ。1階は主にオーナー夫妻が、2階のアパレルはオーナーの弟さんが担当する、家族で営む店。花や花器、インテリアグッズなどから、食器や洋服、アクセサリ、カバン、靴など生活を豊かに、上質で楽しいものへと変えてくれるような、選びぬかれた商品が店内には所狭しと並ぶ。「日常のなかで大切に使い続けられる、本当にいいもの」が集まっている。
information
店舗:Caro Angelo(カーロ アンジェロ)
住所:〒522-0083 滋賀県彦根市河原2丁目2-26
TEL:0749-20-2224
HP:
営業時間:11:00~21:00(日のみ~19:00)
定休日:水、第1日曜日
※駐車場は近くのコインパーキングをご利用ください