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健やかできれいに、城下町に療養地ブランドを

2020.7.4

 大正7年(1918)に建てられた町屋が約100年の時を経て、美容と健康の複合ショップに生まれ変わる。ゆくゆくはドイツのクアオルトのような滞在型の療養地に。人々を豊かにしたいと願うオーナーの想いが古き良き建物に新しい歴史として刻まれていく。

 クアオルトとはドイツ語でクア:治療・療養、保養のための滞在+オルト:場所・地域で「療養地」。先進地ドイツでは国が認定した自治体で特定の療養に医療保険が適用されるが、健康づくりに自費で活用する人が多いという。日本の高齢化社会に健康予防の推進が急務とされているが、医療保険は診断と治療にほぼ限定されている。手術ともなると治療費の負担が大きくなる。この療養地ブランドを立ち上げようとしているのが北岸美奈さん。市内で経営するヘアーサロンで加齢による髪の悩みに育毛ヘッドスパや頭皮ケアなどで応えてきた。「お客様とのご縁を大事に長くお付き合いをしていきたくて、髪の健康を維持する技術でサポートしてきました。これからも人や地域とつながっていけることは何だろうと考えたのが、健康寿命でした。」そして、次に進んだステップが「エアシルクヨガ」。天井から下げられたシルク(ハンモック)に体を預けて空中に浮いたり逆さまになる。空中でバランスをとるので関節や背骨に負担をかけずに体幹が鍛えられ、重力で歪んだ姿勢が改善できる。また逆さまになることで背骨の圧力を軽減され首・肩・腰通の緩和、血流循環が促され副交感神経が働き、アンチエイジング・ストレスや冷え性改善の効果が期待できる。

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 エアシルクヨガのスタジオのために建物自体に魅力がある物件を探していた時、友人が教えてくれたのが「小江戸ひこね町屋情報バンク」。不動産業者が扱っていなかった物件の1つがこの町家だった。彦根城天守を臨み、観光地として賑わいのある場所に位置する2階建13DK、庭、蔵付き。「立地的に人が集まるイメージができ、思い描いていた療養地ブランドが実現できそうだと思いました。出会いたくても出会えない物件に引寄せられた縁を感じ直感で購入を決めました。」1部屋の2階を取り払い吹き抜けにすることで3mの高さを確保してエアシルクヨガスタジオに。上質な梁や襖は残した和の内観に、NY発祥のエアシルクヨガが相まった素敵な空間だ。続いて通りに面した部屋を改修したプライベートサロンもオープンする。海外のVIPを対象にした1席のみ、彦根城を眺めながら極上の時間が過ごせる。別部屋は茶室、2階はカフェ、蔵はギャラリーにと構想が膨らむ。それぞれをアーティストなどに活用してもらうことも考えている。

 北岸さんの事業ポリシーの1番は「自分が好きなこと」、2番は「人や地域の役に立てること」。三方よし✳で、人をベースに彦根の土地柄を活かせることを事業プランを立てた。美と健康を通して人とつながっていきたい。自らを磨くことで豊かに幸せになり、健康寿命が伸びる、地域が元気になる。北岸さんのプランを町家が後押ししてくれているような、町家に新しい息吹を北岸さんが吹き込んでいるような。城下町に療養地ブランド、近い将来、彦根に新風が吹きそうだ。
✳三方よし:近江商人の、商いは自分の利益だけではなく買い手と世の中にとっても良いものであるべきという考え方。

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北岸美奈さん

information

店舗:EKAM DHARMAH エーカムダルマ

住所:〒522-0064 滋賀県彦根市本町2-2-38

HP:

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