素材を活かした空間とお食事「ほっこりカフェ 朴(moku)」
2012.6.7
観光シーズンともなれば、多くの人が足を運ぶ彦根。特に彦根観光協会前の駐車場には、大きな観光バスが幾台も停まり、ツアー客が次々と降り立つ姿が見られる。そのすぐ近く、彦根護国神社の境内で豊かな緑に包まれるようにたたずむ木造の一軒家が、どこか懐かしさの漂う店内でゆったり過ごせる「ほっこりカフェ朴」だ。
現在「ほっこりカフェ朴」として利用されている建物は、戦前に建てられたもの。元々は護国神社の無料休憩所として利用されており、店内では土産物が売られ、うどんなどの軽食が提供されていたという。平成16年、空き家になっていたこの町屋を借り「ほっこりカフェ朴」をオープン。少しずつ手を入れながら営業を続けていたが、平成23年2月に1カ月かけて改装工事を行い、今の姿になった。
どちらも料理人として働いていた店主の中村さんご夫妻の夢は、独立して店を開くことだった。当初は長野や新潟の古民家を利用して民宿を開こうと考えたが、実現には至らなかった。そこで目を付けたのがふたりが住んでいた滋賀であり、奥様の地元でもある彦根だった。「観光地で人が多いので騒がしいようですが、表通りから一本道を入っているので、意外と静かな雰囲気なのがよかったです」と中村さん。「料理を食べていただくときはゆったりしてもらいたい」と語る中村さんの思いを形にした店内は、気持ちをリセットして食事やお茶を楽しんでいただける空間だ。
建物の利用にあたっては「せっかくの古い建物を活かす」「手を入れ過ぎない」ことを重視した。色や雰囲気がそのまま残った結果、普段の生活から離れ、気持ちをリセットしてゆっくりと過ごせる空間、お客様から「懐かしい」といわれるカフェが誕生した。店内はテーブル席と小上がり席とに別れており、子供連れにも優しい店になっている。 建物の魅力はなんといってもその立地にある。緑が茂る境内は、夏は新緑、秋は紅葉、冬は雪景色と四季折々の自然がすぐ目の前にある。窓に面したカウンター席では、建物を包む自然と一対一で向き合う贅沢な時間が過ごせそうだ。家族の笑顔が似合う素朴な建物や、木の質感が生きた建物自体も特長。クーラーをあえて使わず、自然の風を感じながら過ごす夏は、天井が高く自然に囲まれた木造建築だからこその楽しみかもしれない 。「建物の問題点は冬の寒さ」だと中村さん。以前は室内でも上着が手放せなかったという。改装時に薪ストーブを導入しあたたかな冬が過ごせるようになった。「リフォームやリノベーションの技術も発達していますから、町屋の良さを最大限に活かしつつ、過ごしやすい空間が作れるようになっています。大事な部分は残しつつ、改良するのが町屋を利用するコツだと思います」
ご主人の中村光佐さんが家族で営むのは、ほっこりと落ち着く雰囲気を大切にしたカフェ。店内で提供されるのは、地の素材や旬の食材を用い、手作りにこだわった和洋折衷の家庭料理とスイーツの数々。 体に優しく、心が穏やかになるような料理を心がけている。「素朴」という単語から一文字とった店名「朴」の通り、あたたかみのある雰囲気と、シンプルで毎日味わいたくなるメニューが揃う。 今日のご飯セット(五穀米、メイン、副菜、汁、ミニデザート付)892円。
information
店舗:ほっこりカフェ朴(MOKU)
住所:〒522-0001 滋賀県彦根市尾末町1-59 護国神社敷地内
TEL:0749-22-0839
HP:
営業時間:12:00~15:00
定休日:月・土・日・祝日
※駐車場4台 ※臨時休業、営業時間の変更あり。お電話でご確認を