手づくりランチでほっこり「ごはん家 くまくま」
2012.5.27
江戸時代、彦根城の築城後に河川改修工事が実施されたという芹川。その芹川に架かった橋のたもとから続くのが、彦根で最も古い商店街として人々に愛されてきた「橋本商店街」だ。平成20年、「リバーサイド橋本通り」と商店街の名は変わったが、地元の人々に愛される店が軒を連ねていることは変わらない。
その商店街の一角に平成23年12月22日に「ごはん家 くまくま」がオープンした。地場で採れる四季折々の新鮮な野菜をたっぷりと使い、「おいしくて、身体にいい」にこだわった“ごはん”で、女性だけでなく、小さな子どもさん、男性、学生さんなど幅広い顧客に支持されている。
江戸時代末期から明治時代初期に建てられたと見られる店舗は、築約150年。昔は油問屋だったという建物は、母屋と離れ、蔵2棟、庭からなる。平成11年11月から23年3月まで、地元女性らにより布製品を扱う憩いの場「より~な」として運営されていたが、その後、隣の美容室だった物件と共に株式会社滋賀原木のグループ会社・三興が買い取り、母屋部分が「ごはん家 くまくま」として営業されている。 オーナーは、「30年前は非常に賑やかだった彦根随一の歓楽街・袋町の入り口に位置するこの建物は物件として魅力的です」と語る。しかし現在の姿が完成形ではない。物件としてはまだまだ未完成。3年計画でさらに魅力を高める計画だ。隣の美容室を解体・減築し、裏の蔵を活用できるようにリノベートするなど、時間と手間をかけて物件に手を入れ、未来の活用方法を模索する。 油問屋から憩いの場に、現在の飲食店へ、さらに今後と使用方法は変化しても、“人々が集う場”であることには変わりない。「ごはん家 くまくま」の店内は掘りごたつのある畳敷きの座敷や障子で区切られた個室などの和のスペースと、ギャラリーとしても利用されているテーブル席のモダンな洋の風情が溶け合った、くつろぎの空間。座敷からは庭を通して蔵が見え、食事に来るお客様にも町屋の風情を堪能してもらえる。テーブルや水屋などの家具や小物類にも、リサイクル品を取り入れられている。かつて別の店舗や個人宅で、家族やお客様をもてなし、愛されてきた家具類。使い込まれた風合いが、店内の雰囲気作りに一役買っている。
お店に来た方は「懐かしい」「リラックスできる」と口をそろえる。「おばあちゃん家に遊びに来たみたい」と話す人もいるという。和洋の混じった素朴な空間と、古い建物だけが持つ空気感が人々を和ませ、しつらいと“お袋の味”が気さくさをさらに高める。思わず長居する人が多いのもうなずける、ちょっとした団らんが味わえるのが特徴だ。 オーナーは「すべてのリノベートが完成したら、その時点で建物の活用方法を見直します」と言う。現在の店舗を継続するのか、まったく別の活用方法が浮上するのか、3年かけて手を入れながら見極めていくそうだ。目指すのは「イメージが広がる場」。建物を見るだけで「こんなビジネスがしたい」と豊かな想像が沸き立つような物件にしたいという。多くの人で賑わったこの地区、建物を使って、少しずつではあるが賑わいを取り戻すのが大きな目的のひとつでもある。町屋を活用したまちづくりの拠点として、シンボルとして、彦根のまちづくりを牽引していくことになりそうだ。
ママ友として出会った熊川裕美子さんと熊谷順子さん、苗字に「熊」の字がつくおふたりが協力して経営する「くまくま」。旬の素材を使った日替わりごはんや自家製スイーツで、のんびりした時間が過ごせる。お惣菜やお弁当の注文、店内を使ったイベント企画などにも柔軟に対応してくれる。
information
店舗:【閉店】ごはん家 くまくま
住所:〒522-0083 滋賀県彦根市河原2丁目2-38
TEL:090-7110-3378
HP:
営業時間:11:00~16:00
定休日:土・日・祝
※駐車場は近くのコインパーキングをご利用ください